最初は飛びかかられたり攻撃されていたけれど、次第に仲良くなって、冬に帰ったときには
僕が散歩に連れて行くとニャーニャー言って後ろからついてくるようにもなった。
誰にでもなつく、でも、取り分け僕とは仲の良い猫だった。
車を怖がっていて、散歩していて車が来ると、いつも僕の後ろに隠れていた。
夜、僕が飲みに行けば、僕の帰りをずっと外で、雪が降っていても待っていた。
偶然なことに僕は帰りにコンビニに寄って、バイトをしていない学生には少々高価すぎるキャットフードなど
買ってきているもので、待っていてくれるなんて、家に着いたときはどうしようもなく嬉しかった。
布団に入ればニャーニャー言いながら潜り込んで、気持ち良さそうに鼻を鳴らして寝ていた。
僕にぴったりついて寝るので少し寝づらかったが、あまりに可愛らしいので、
毎晩のように一緒に寝ていたのだった。
昨年二十歳になっていた僕は、成人式に出るため(と奴に会うため)帰省していた。
式当日、さすがに猫を連れて行くわけにはいかず、少しの間だけだと思い、
家に置いて行ったのだった。
式が終わり、旧友との幾度にも渡る凄惨な飲み会を超えて家に帰っても、奴の姿はなかった。
テレビの裏で寝てるんだろうな、と思い、精魂ともに尽き果てていた僕は、明日の新幹線を考え、寝ることにした。
目が覚めても、奴の姿はない。不審に思い祖母に尋ねると、散歩に行った、と告げられた。
まあ、次の休みまで一月も間はないし、すぐ会える。休みを減らぬよう、早く大学に戻って試験をこなそう。
そして僕はアパートへ向かった。
母が勝手に、僻地の、話したこともなければ顔も知らない、赤の他人の老夫婦に譲ったのだ。
実は姉が幼いときよりのひどいアレルギーで、動物は飼えなかったのだ。
家族はみんなそれを理解していた。しかし、弟が奴を連れてきた。
母曰く、もう成長したから、大丈夫だと思っていた。それで飼おうということになっていたのだ。
僕は、猫がいないのなら家に帰る理由などない。と告げた。
それから毎晩、同じ夢を見るようになった。
寝ようと布団に入ったときも、そっと布団をめくってみる。
奴がこっそり潜り込んでいるのではないか、と思うからだ。
お姉さんがひどいアレルギーだったら仕方ないかも。
あまりお母様を責めませぬよう。
老夫婦の連絡先を教えてもらって
時々会いに行ってあげてはどうかな?
お母さんの事は責められないと思う。
そんなに可愛がっていたのなら、一緒に暮らすのがいい。
私は結婚で実家に可愛がっていた猫を置いてきてしまった。
母は外に出しても平気にしているタイプだったので
私が家を出たとたんに外に出されてしまい事故死した。
どうしてペット可マンションに一緒に連れていかなかったのか私、と
数年経った今でも後悔している。思い出すと涙が出る。
そういう母と解っていて置いてきた私が悪い。
今では二匹の猫と暮らしていて、二匹とも可愛いけれど、
あの猫以上に好きになれる猫はいないし
あの猫を忘れる日は来ないと思う。
前の猫ちゃんのことは忘れないでいてあげてほしいけど
あの猫以上に好きになれないなんて思いで飼われてたら
今の2匹の猫ちゃんがなんだかかわいそう。
#猫@井戸端スレッド#part9
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